WEB版すいせん [2020年1月号]
福井県地域リハビリテーション実務者研修会に参加して
訪問リハビリ 作業療法士
加福 己里宜
令和元年11月30日、12月1日に福井県地域リハビリテーション実務者研修会が開催されました。今年度のテーマとして、「これからのリハビリ専門職に求められること~地域課題の抽出とセラピストの可能性~」というテーマで、2日間にわたり行われました。
1日目は、半田一登先生には「地域における理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の役割」について、松井一人先生には「訪問リハビリテーション振興財団の活動と展開の経緯、今後の展望」についてご講演していただきました。2012年に訪問リハビリテーション振興財団を発足し、在宅ケアの質的・量的拡充を図り、病気や障害があっても活き活きとその人らしく、安心して暮らせる社会を目指し、人材の育成や事業運営の支援、調査研究、国民の健康と福祉の向上に寄与することを目的に活動しているとのことでした。これまで地域自立支援センター構想や広く地域に貢献する事業展開に向けての主な活動について、時系列ごとに写真やグラフを用いてご講演いただき、とても分かりやすい内容となっていました。境勝利先生には「令和時代の地域包括ケアシステム」についてご講演していただきました。現在の福井県の人口構想や要介護認定者数、認知症者数などの統計をグラフ化してご講演いただきました。今後、さらに高齢化が進展していく中でこれまで以上に「通いの場」での社会参加をはじめとしたフレイル予防活動を通じ、健康寿命の延伸を図ることが最重要とのことで、リハ職として介護や認知ということについての社会全体の認識・理解の向上に努めていく必要があると感じました。
2日目は、松宮栄美子先生には「訪問看護ステーションにおけるリハビリ専門職との連携の現状」について、紅野勉先生には「自立支援と目標設定」についてご講演いただきました。リハビリ専門職とは、その人のもてる身体能力を引き出し、意欲の開発ができる専門職であり、対象者の強みをみていくことが重要である。強みを評価し、目標を達成していく・フィードバックを行うことで、対象者自身の発言や表情などからも、その人らしさが形成されていくのではないかと改めて考えるとても良い機会となりました。また、私が1番印象に残っていることは合意と同意の違いでした。合意とは二人以上の者の意見が一致することや当事者の意志が一致すること。同意とは相手の考えと同じであることを意思表示すること。同意を得た目標ではなく合意した目標を引き出し、そこに向かって他職種で連携し、アプローチを行うことで自立支援に繋がると感じました。今回の研修を今後の仕事に活かしていきたいと思います。