WEB版すいせん [2022年8月号②]
県内の専門・認定作業療法士紹介⑩
氏名:谷川 真澄
所属:有限会社「 なるざ 」 代表取締役
特例で認定作業療法士へ
OT協会は2004年に「認定作業療法士制度」を創設しましたが、実は私、制度創設と同時に認定作業療法士になっています。当時そんなに多くはなかったと思いますが、私は特例で認定作業療法士を取得した中の一人でした。認定制度創設以前の1998年4月から創設された生涯教育単位認定システムは研修や発表毎にポイントが付与され、それを個人で記録していく仕組みがすでにあり、私のポイント数は特例認定に必要なポイント条件を満たしていたのです。41歳のときでした。
研修や学会に行きまくった20代~30代
1990年、就職して3年目、職場は学会発表をどんどん進める職場で、北陸学会で勢いに任せて発表したことがあります。実践力も報告力もない自分が当然十分まとめきれず、胸を張れるような内容には遠く及ばず、自分の力不足と発表したことを悔い、それからは学会発表を封印し、学ぶことに貪欲になりました。リハ職にとっては職場の理解も教育環境もゆとりのあった良い時代、興味のある研修や学会には公費自費関わらずたくさん参加しました 。
認定作業療法士を失効
私が20代~30代に生涯教育のポイントを荒稼ぎした結果、簡単な手続きで 認定作業療法士になった私でした。しかし、認定作業療法士であることのメリットも感じず、5年後の認定更新審査を受けないまま、認定作業療法士資格 を失効してまいました。
50歳になって協会事業に関わるようになり、協会教育部メンバーと接点ができると、生涯教育制度を作り上げるために汗をかいてきた先人OTの方々の努力を目の当たりにしました。その意志を引き継いで奔走する人たちの存在にも影響を受け、改めて卒後教育の重要さ、認定作業療法士を目指すこと、認定作業療法士として様々活動することの意味を考えさせられました 。
もう一度、認定作業療法士を目指す
2015年2月、私は東京台東区にあるOT協会事務局にて認定作業療法士資格再認定審査の試験を受けました。会場には 私以外に4~5名程同じように再審査を受けるOTがいました。試験に手ごたえはありませんでしたが、どうにか合格。51歳にして自分の意志で再度認定作業療法士になりました。そこから5年間、研修参加、協会活動や研修会講師、執筆、地域事業への参画等 社会貢献活動、様々な協会内外の活動を実践し、56歳の時、最初で最後となる認定作業療法士更新を経験しました(60歳に達すると認定作業療法士の更新は不要となり、認定作業療法士(終身)となります)。
振り返ると、自分が作業療法士としてどうありたいか、どうするべきかといつも考えてきたこと、そして時代背景、人とのつながり、そのおかげで私は運良く50 歳を過ぎて認定作業療法士になれました。私の気持ちの中では、 認定作業療法士としての自覚を持って活動した50代はOT人生の中で一番充実していたと感じています。
認定作業療法士がスタンダードな時代に
さて、私の経験してきたこれまでの時代と違い、これからOTとして生きる若い皆さんの人生は非常に困難な道を歩まなければなりません。作業療法士が供給過多の時代となる他方で作業療法の質がますます吟味される保険制度に変わると予測されます。認定作業療法士は外部から見ても一つの重要な基準となっていく可能性が高いでしょう。
認定作業療法士はOTとして生きる一人ひとりの道の標となるばかりか、10年くらい先にはスタンダードになり、さらにゼネラリスト化、スペシャリスト化、あるいは多資格取得のハイブリット化を目指す人、そして何も目指さない人に明確に志向が分かれていくのではないでしょうか。これからは 一人の作業療法士として生きる道を確保するために、機会を逃さず決断し進むことが 大切 と言えます。
私も県内の認定作業療法士とともに、認定を目指す皆さんの支援に努めたいと考えています。ともに頑張りましょう、自分と社会のために。