WEB版すいせん [2024年6月号]
県内の専門・認定作業療法士紹介⑰
福井医療大学 保健医療学部
リハビリテーション学科 作業療法学専攻 助教
福井県高次脳機能障害支援センター 支援コーディネーター
中島裕也

専門・認定作業療法士を修得するに至った想い
まずは今までの職歴を少し振り返らせていただきます。2008~2012年福井総合病院回復期病棟で脳損傷患者を中心とした入院作業療法に従事,2013~2021年福井県高次脳機能障害支援センター(福井総合クリニック内)支援コーディネーター(専任,以下支援Co)として高次脳機能障害者の社会復帰支援に従事,そして2022年~福井医療大学で地域作業療法を専門に教育・研究・臨床活動(支援Co兼務)・地域貢献活動に従事しています。このような職歴をたどる中で,支援Coに従事した頃でしょうか,「根拠をもった上で生活支援が行える作業療法士(以下OT)になりたい」という信念を持つようになりました。しかしこの頃は,認定OTのことは知っていたものの,「要件や手続きがめんどくさそう…」と見向きもせず,支援Coとしての社会復帰支援・地域支援ネットワーク構築,高次脳機能障害に関する学会発表・論文執筆,大学院修士課程に取り組む中で,「根拠」を形作れるよう精一杯取り組んでいました。
このような経験を重ねる中,認定OTを目指すことに至ったのは,下記に示すいくつかのちょっとしたことが重なったためです。①認定OT修得に向けた研修:申請要件や手続きを知ることができました。樋田先生(福井赤十字病院)の研修がなかったら,今でも認定OTは取得していなかったと思います。感謝です。②意外と要件をクリアできていた:私がそれまでに行っていた自己研鑽活動の実績を活用することができたのは大きかったです。③オンライン研修の普及:子育てもしている中,現地に行かず必要な研修を受けられるのは,金銭的・時間的にも魅力的でした。④実践報告5例:普段から患者さんの情報提供書やサマリー(A4 2枚程度)を記載していたので,実践報告(A4 2枚以内)はそれ程ハードルを感じませんでした。以上のような,ちょっとしたことが重なり「もしかしたら認定OT取れるかも?」と思い始めたのが修得に至ったきっかけです。大層な想いや覚悟ではなかったのですが,若かりし頃に抱いた「根拠をもった上で生活支援が行えるOTになりたい」という信念が基盤にあったことは間違いありません。信念を持ち,自己研鑽を積んできた結果が認定OT修得といった一つの形に繋がったのかな?と感じています。
仕事上での活かし方
支援Coとしての臨床や,学会発表など,対外的な活動が多いので,その時に認定OTがあると,「おっ,しっかり頑張っている方なんだな。」と少しは思ってもらえるのかなと。仕事上での具体的な活かし方はまだ分からない部分も多いですが,OTとしての「信頼」と「実績」の担保になる,これに尽きるのではないのでしょうか。
これから修得を目指す作業療法士へのメッセージ
2025年度より登録OT制度が開始されます。皆さんどうでしょうか?「登録されていないOT」よりも,ちゃんと「登録されているOT」を選びませんか?認定OTで言うと,「認定されていないOT」よりも,「認定されているOT」を選びたくなりませんか?私は,登録→認定→専門のステップアップと,努力・信念・熱意は比例関係にあると感じています。自分自身や自分の家族に,何らかの理由で生活障害が生じた際,私はしっかりとした所属(日本作業療法士協会)に籍があり,信念や熱意をもって患者さんのために努力してくれるようなOT(登録・認定・専門OT)を頼りたいと強く思います。自分にもプレッシャーを掛けるようなことを言ってしまいましたが(苦笑),今後益々,福井県内に確固たる知識・技術・信念をもったOTが増えていくことを切に願っています。既に自己研鑽を積んでいる皆さん,「意外と認定OT取れるかも」ですよ?