WEB版すいせん [2024年8月号]
香山先生の勉強会の企画・参加を体験して
医療法人 嶺南こころの病院
渡部 由樹
始めに
令和6年6月22.23日の二日間に渡りアオッサにて「精神科OTを深める」をテーマとした精神科OT対策委員会主催による勉強会が実施されました。日本作業療法協会の副会長、東北文化学園大学教授である香山明美先生を講師にお招きし、①講義(精神科の現状と課題について、面接技法)、②事例検討、③面接の仕方、④明日から取り組むべき課題についての講義、検討会、ワークショップをして頂きました。
実行委員として企画、運営に携わってみて
本勉強会では初めて実行委員として企画・運営を実施しました。きっかけは岡本副会長からのお誘いで、「県士会の展望として、若い人がどんどん県士会活動に参加し、勉強会に出るだけではなく、自らが県士会の形を作って欲しい」という言葉に感銘を受け、自分もやってみようと思い参加しました。
始めは何をしたら良いか分からず不安で、ミーティングでは「何を話せばいいんだろ、こんなこと言ってもいいのかな」と考え発言も消極的でした。しかし話し合いが進むにつれ、人や場に慣れ、各々の役割も生まれ、その過程で不安が期待に変化しやりがいを感じるようになりました。勉強会が問題なく進行し無事にやり遂げることが出来た時は大きな達成感と共に、この経験は自分の人生に生きてくるものだと強く感じました。
講義に参加した感想
最初に作業療法の基本的な部分から外来や入院患者の推移、退院者の行き先、他職種連携、地域支援などを聴かせて頂きました。中でも地域支援については印象深く残りました。地域をフィールドとした活動の展開をするために、OTがどこに身を置くかではなく対象者の生活課題にどれだけ迫れるかが勝負となると実際に支援した症例を挙げてお話して頂きました。この話を聴き、院内で漫然と仕事をしていた自分に焦りを感じると共に、香山先生のような支援をやっていきたいという熱い気持ちになりました。
面接技法の講義ではトータルなアセスメントの重要性を繰り返し伝えて頂き、客観的な情報に裏付けられた主観的な判断が面接の要点になるとお話されていました。アセスメントの重要性を再認識し今後の臨床に生かしたいと思いました。
事例検討に事例を出して感じたこと
今回の事例検討では自身が事例を提出することとなり、初めての事でとても緊張しました。テーマとして発達障害を持つ方の家族支援を選びました。その中で香山先生をはじめとした、他の先生方から色々なご指摘やご提案等を頂き、より多くの観点から実施した支援について見つめ直す機会となりました。特にアセスメントについては情報が不足している部分が多くあったと自省すると共に、意見を元に介入すればより良い治療を提供できるとの楽しさもありました。
事例を他の方に見てもらうのはとても緊張し、出すことを今まで戸惑っていましたが、今回の経験を通じて意外と怖くない、なんなら参考になるという思いを抱きました。勉強会後のアンケート結果から事例検討が勉強になるという意見が多数寄せられていたため、今後も事例検討が活発に行われると良いなと思います。
明日から取り組むべき課題として感じたこと
本講義はワークショップ形式で行われ、まずは個人で自身の課題ややるべきことをシートに書き、それらを班内で共有、最後に全体に向けて班内の意見のまとめを発表する形でした。“今後”の課題ではなく、“明日から”取り組むべき課題を設定したことで目標が具体化されより実践しやすいと感じました。
最後に
研修会の企画運営、事例の提出等はとても緊張するため、一歩を踏み出すことがなかなか難しいと思います。しかしその一歩を踏み出した先に新たな人間関係や今までにない視点、自信、達成感などたくさん得るものがあることを今回身をもって体感することが出来ました。
今後も企画運営への参加や事例検討の誘いなどがあるかと思います。声を掛けられて悩んだ際は人生経験を増やすいい機会になるかと思いますのでぜひ参加し、一緒に福井県作業療法士会を盛り上げていきましょう。