WEB版すいせん [2020年2月号]

福井県内の専門・認定作業療法士の紹介③

氏名:吉田一平
1)医療法人 博俊会 春江病院 リハビリテーション課 作業療法部門 主任
2)首都大学東京大学院博士後期課程 人間健康科学研究科 作業療法学専攻

 

 就職してからは、主に病院での身体障害に対する作業療法を実施していました。最初は、解剖も運動学も何もかも分からなかったので、中枢麻痺、高次脳機能、ハンドセラピーなど、生体力学モデルに代表されるような知識を習得するのに必死でした。その中で、ハンドセラピーでの考え方やアプローチに特に興味を持ち、手外科領域の専門作業療法士となるために、まずは認定作業療法士の取得を目指した、というのが、私の認定作業療法士習得に至った経緯でした。認定作業療法士は6年目に取得しましたが、そのあとは思いもよらない方向に進むことになります。。。

 認定作業療法士を取得してからは、特に何も変わらなかった、というのが正直な感想で、新人教育プログラムなどの講師機会が増えて、役割が増えたな、くらいでした。

 しかし、取得して数年経過した頃に、「自分の経験した知識・技術をどう伝えるか?(教育)」、「クライエント(患者さん)のみならず、職場がより良い環境になるためにどうマネジメントしたら良いか?(管理・運営)」、「エビデンスの高い作業療法アプローチを示すにはどうしたら良いか?(研究)」といった、共通研修で学んだ視点を生かした考え方ができるようになったような気がします。資格取得を目指した時は、自分のことしか考えていなかったように思いますが、いろんな人に貢献したり、いろんな人と共有したりすることの重要性に気付けたことは、この資格取得のプロセスを経た結果なのかな?と振り返ると、この経験はとても有意義なものだったな、と思います。最初に書いたように、当初は還元主義的なアプローチ(川平法などの麻痺へのアプローチ、高次脳機能への特異的アプローチ、ハンドセラピーに関するテクニック)への関心が強かったですが、認定作業療法士の選択研修で、(受けたい講座を受けれず)たまたま老年期作業療法の講座を受けたときに、人間作業モデルやOBP(作業に根ざした実践)の考え方に興味を持ちました(講義してくださった先生の作業療法に対する思いや考え方にとても感銘を受けたのを覚えています)。

 そのあとのタイミングで、病院からデイケアに職場が異動になったこと(でハンドセラピー経験が激減、、)などが重なり、一時は目標を見失いましたが、老年期作業療法で疑問に感じたことを明らかにしたい!というモチベーションが生まれ、自分でも衝動的でしたが大学院に行ってみようとなりました。その時の研究テーマ(心理学のフローモデルという考え方を用いた作業療法プロセスの効果)を通して、論文執筆や国際学会発表、企業との連携など、新しい経験がどんどんできたので、このきっかけをくれたのが認定作業療法士、という制度だとすれば、思い描いていたプランとは違いましたが、良い成長ができたんじゃないかな?と思います。

 

これから習得を目指す方へ

 取得してすぐ何かが変わるわけではないと思いますが、第1線で活躍している先輩方の講義を聞いたり、他の認定作業療法士を目指す方々との出会いは、とても貴重な経験だったと思います。必要な条件はいろいろありますが、自分は取得して良かったな、と思います。この経験を読んでいただいた方にとって、少しでも認定・専門作業療法士を目指すきっかけになってくれれば幸いです。

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