WEB版すいせん [2023年10月号]
令和5年度 第2回 地域包括ケア人材育成研修会~ベーシック研修~
医療法人健康会 いちごデイセンター福井
地域包括ケア推進部 部長
宇都宮 万葉
はじめに
日本作業療法士協会では超少子・高齢化社会を迎える日本で、作業療法の力で健康に暮らせる社会に寄与する事を目的とし、全国1700市町に市町村担当者の設置を目指しています。そこで私たち地域包括ケア推進部では地域包括ケアに資する人材育成を行っています。今回の研修会ではベーシック研修として2025年問題や地域包括ケアシステムの中で、クライエントの生活の視点で支援する私たち作業療法士に求められる事を医療分野・介護分野の双方の立場からお話しさせていただきました。
私はこれまで回復期病棟で2年、通所リハで8年、そして8月に現在の通所介護に異動となった11年目のOTです。その中でスキルアップのための資格取得や事業所の運営、介護保険の大幅改定、地域ケア会議なども経験させていただきました。また今年度からは日本作業療法士協会の地域社会振興部にも所属する事となり、地域包括ケア推進班としても活動し始めました。今回は地域包括ケア人材育成研修会を行う中で若手OTだからこその明日から役立つ情報を少しでも発信できればと思い、昨年に引き続き講義を担当させていただきました。
研修内容
医療分野については当部会の理事で、厚生病院回復期で働く水上先生の資料をもとに、早期退院に向けて多職種連携と同職種連携で乗り切る重要性と、そのために必要なOTのアプローチの視点についてのお話しをしました。内容としては入院前生活の評価やクライアントを多方面から見る視点、MTDLPや時期に応じた支援、マネジメントの視点についてでした。
介護分野からは在宅のOTが置かれる立ち位置、地域包括ケアシステムで求められる医療と介護の連携、リハ職として重要なリハビリテーションマネジメント(SPDCAサイクル)の内容やその中でもOTとして専門性を発揮すべき事柄についてです。内容としては①S(情報収集)として意味のある作業に焦点を当て、作業の可能化に向けて必要な評価を行うこと②P(計画)として意味のある作業と現状の双方を捉えたうえで目標設定をする事と、その目標達成に向けた情報の共有と役割分担についての計画の重要性についてでした。
若手OTに向けてのメッセージ
今後地域包括ケアシステムの中で活躍するのは、私も含めてこれまで研修会に多くご参加頂いた20代・30代のみなさんです。もちろん、みなさんは一生懸命に日々の臨床の中で「自分にできる事」「求められる事」中には「できればやりたく無い事」などにも取り組まれていると思います。そんな私たちが行っている“仕事”という“作業”が少しでも「大切だと思う事」「楽しいと思う事」「やりがいだと感じる事」となるように県士会や研修会を通して横の綱がりを深め、さらにはOTの知名度アップにもなるように一緒に取り組んでいきたいと思っています。せっかくOTとして働いているわけですし、自信とやりがいを持って作業療法をより良く発展させていきましょう!