WEB版すいせん [2024年2月号]

県内の専門・認定作業療法士紹介⑯

福井医療大学 保健医療学部
リハビリテーション学科 作業療法学専攻 講師
酒井 涼

 

認定作業療法士の取得に至る経緯

 私は2012年に福井総合病院に就職しました。職場の上司や同僚、後輩に恵まれ、認定作業療法士の研修に一緒に参加しようと声をかけてもらう機会が多くありました。認定作業療法士取得に対し強い意志があったわけではないですが、おかげで少しずつ研修をクリアしていくことができました。また、研修に参加する度に、県外の作業療法士の方と交流することができ、同じような職場での悩みを共有したり、精力的な取り組みに刺激をもらったりと、今思い返すと貴重な機会だったなと思います。大学院を修了していたことで免除された研修もあり、6~7年目には残すところ事例登録のみになりました。ただ、事例登録の査読の対応には2年ほどかかったと記憶しています。一度の査読に数か月の時間がかかり、それを何度か繰り返す必要がありました。ほかの先生方も述べられているように、査読を行える人材の不足やシステム上の難しさがあったのだと思います。時間はかかりましたが、その後、認定作業療法士を取得することができました。

 

専門作業療法士(脳血管障害)の取得とその後の変化

 認定作業療法士を取得したころ、ちょうど専門作業療法士の中に脳血管障害領域が新設されました。積極的に学会発表や論文を執筆していたこともあり、専門作業療法士の試験資格のほとんどをクリアしていたため、脳血管障害領域の専門作業療法士取得を目指すことに決めました。認定作業療法士と異なり、10年以上の臨床経験に加え、学会や論文、社会貢献の実績が重視され、かつ筆記試験もあり、専門作業療法士の取得にはハードルの高さがあると思います。私は、幸いにも該当分野の新設時期が臨床経験10年に達した時期と重なり、読み替え条件で申請したため、研修参加の負担なく、新設2年目で取得することができました。専門作業療法士の取得難度の高さには賛否があるかと思います。その苦労に相当する見返りは何かと問われると明確には答えられません。ただ、私の場合は専門作業療法士取得後の活動に変化がありました。全国の脳血管障害領域の専門作業療法士で構成するネットワークの立ち上げや、日本作業療法学会の演題審査委員、講演の依頼など、全国規模での仕事が増えました。県外の精力的な作業療法士の方々と関わる機会が増え、自らの活動を発信する機会を頂くことも多くなりました。自分自身の仕事の評価のひとつとして認定・専門作業療法士を取得しましたが、結果的に色々なお仕事を頂くようになり、普段の業務ではできない経験をさせてもらえるようになりました。それと同時に、これまで以上に作業療法士としての在り方を考えるきっかけにもなりました。私にはふたりの尊敬する恩師の先生がおりますが、お二方とも作業療法士ではありません。職種は違っていても、作業療法士としての自分を尊重しながら、多くのことを教えて頂きました。その恩に報いるためには、自分が取り組んでいるものを妥協せずより深く探求し、その成果を残していくことが大事だと思っています。脳血管障害領域の専門作業療法士の資格は、そんな自分のアイデンティティを支えてくれるもののひとつのように感じています。

 

これから修得を目指す作業療法士へのメッセージ

 医療専門職は日々の業務に加え、自己研鑽が求められます。一方で、私が働き始めた頃とは働き方に対する考え方も変わってきています。認定作業療法士・専門作業療法士という資格ひとつをとっても捉え方、考え方はひとそれぞれだと思います。ただ、私個人は、前向きになにかを達成しようと努力する人と一緒にお仕事ができれば、それが一番楽しいだろうなと思っています。そして、福井県内でも多くの認定・専門作業療法士が活躍し、質の高いリハビリが提供されている地域として、福井県の作業療法士全体が評価されるようになることを願っています。

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